自然の中に住み、自然を描く、寺尾一郎のクレヨン画

6月19日にドイツゴラモフォンから新たに発売された「素顔のカラヤン」。約90分強の未公開映像を含め、仕事現場でリーハーサルに、そしてレコーディングルームで、スタッフと仕事に取り組むカラヤンの素顔が実に興味深く紹介されています。
要所要所で、カラヤンと仕事を共にしてきた演奏家や録音技師といったつわものたちが、我々が見る映像を見ながら当時のカラヤンについてのありのままの感想を述べるシーンなど、構成もなかなか素晴らしい出来栄えです。
特に圧巻なのがファンにとって必見のストラヴィンスキーの「春の祭典」や、バッハの「ロ短調」ミサのリハーサルではないでしょうか。
ミキシングルームで録音スタッフと談笑するカラヤンはこれまで公の場に公開されなかった映像があり、片腕として活躍したミシェル・グロッツにいかに真から心を許していたかがわかり、新しいカラヤンに近づくことが可能です。
徹底的に細部までこだわり、妥協を許さないことで有名だったカラヤン。実は意外にも細かいミスにはあまり気にせず、全体構成を重視していたことが如実に理解できます。
ワーグナーの楽劇「指輪」でもトーマス・スチュアートに自らのピアノ伴奏で歌い方と演技指導をするあたり、どう見ても指揮者ではなく役者としての才能も持ち合わせていたのではないかという気が改めて湧いてきたファンにとっては必見のDVDではないでしょうか。