皆さんはマーシャ・ブラウンの「三匹のやぎ がらがらどん」という童話をご存知でしょうか。
僕がこの本を知ったのはある人から教えてもらったのがきっかけですが、今から10年ほど前のことです。
イソップ物語と同様、実に人間界のことをよーく表わした意味深い本で、子供はともすれば間違った捉え方をすることもありそうです。
三匹のこぶた同様、なぜか民話や昔話には3のつくものが実に多いことに気が付きますが、それはまた改めてブログで取り上げたいと思います。
内容はいたって単純明快で三匹のヤギが橋を渡って草を食べにいくというそれだけのお話。
でもここには男性の精神的成長が3段階あることが示唆されているということは物凄く大事なことかもしれません。
最初に橋を渡るのは、1番小さいヤギです。
人間でいえば幼稚園児です。橋の下に隠れているトロル(日本でいえば魔物か妖怪みたいなもの)が、子ヤギを見つけて食べようとします。
子ヤギは「こんな小さくてかわいいボクを食べるの?」と泣き落とし作戦に出ます。
トロルは、こんなに小さなヤギを食べてもしょうがないな、と説得されてしまいます。
次に橋を渡るのは、中型のヤギです。人間でいえば中学生くらいでしょうか。
トロルが食べようとすると、「あとからもっと大きくて美味しそうなヤギが来るよ」と智恵を働かせます。
実は、これは大型のヤギを裏切ることばではありません。ここが小さい時に読むと間違ってそう解釈してしまうので、大人がきちんと教えてあげないといけないところなのですが。
大型のヤギがトロルを退治してくれることを信じての言葉なのです。
そして実際に、最後にやってくる大型のヤギは、トロルを角で一突きで倒してしまいます。
こうして、その後三匹のヤギは毎日安心して橋を渡れるようになったという話なのですが、なぜ、こんな何の変哲もない話が語り継がれているのか。
第一段階は人間が愛される時代です。人は赤ちゃんとして生まれ、みんなからたくさんの愛情をもらって大きくなります。これが子ヤギに象徴されています。愛されることが彼ら彼女らの仕事といってもいいかもしれません。
次の第二段階は、英雄体験をする時代です。中型のヤギに象徴されます。小学校までにもらった愛と智恵と勇気を使って英雄体験をするわけです。
最後の第三段階は、自信と誇りを高める時代でしょうか。英雄体験を終えて、智恵と勇気で人々の悩みを解決してあげ、人を愛して知識を智恵に変える時代。いわゆる成熟した時代。
これからの時代は物欲の時代から精神性の時代だと言われます。
どれだけ自分磨きをして清らかな正しい心をもって相手に接し、パワーアップしてさしあげることができるのかをマーシャ・ブラウンはこの本でいいたかったのではないでしょうか。