イタリアのテレビ局「RAI」がある日、3人の世界的に有名な指揮者カール・ベーム、レナード・バーンスタイン、そしてヘルベルト・フォン・カラヤンをスタジオに招待します。
インタビュアーがいきなりイタリア人気質よろしく単刀直入にこう質問します。
「皆さんの中で一番有名な指揮者はどなたですか?」
すると開口一番にカール・ベームがこう答えます。
「もちろん、それはこの俺だ!」
すると間髪いれずにバーンスタインがいいます。
「いや、それは違う。一番有名なのはこの俺だ」
するとベームが「モーツアルト作品ではこの俺が一番定評があるんだといっているぞ」と胸を張っていいます。
「いやいや世界中のファンがマーラーを振らせると最高の指揮者はこの俺だと評価も一番だ」とふんぞりかえっていいます。
困り切ったインタビュアーが「音楽ファンといってもいろいろなお方がいますからねえ、一概にそうともいえないんじゃないですか」と皮肉をこめていいます。
するとこれまたベームとバーンスタインが同時にこういいます。
「いや、神様がそうお告げしたのだ」と。
するとそれまで黙って腕を組みながら目を閉じて聞いていたカラヤンがやおら目を開けてこう言います。
「いや、俺はそんなこと言った覚えはないけどな。」
これはいまだにヨーロッパで音楽ファンに語り継がれている有名なエピソード。いかにも西欧の人らしいユーモアと皮肉の混ざったエピソードですね。